症状別コラム

朝起きると腰が痛いのは寝具のせい?岩槻の整体院が解説する「寝返り」と、ほとんどねじれない腰の話

2026.08.08

朝起きたときだけ腰が痛いのは、なぜですか?

「朝、目が覚めた瞬間がいちばんつらい」「起き上がるときに腰が固まっていて、しばらく動いていると楽になる」——岩槻・東岩槻で腰のご相談をいただくなかで、かなり多いパターンです。日中は普通に過ごせてしまうため、深刻に考えずに何年も付き合っている方も少なくありません。

この悩みで多くの方が最初に疑うのが寝具です。実際に検索してみると、上位に出てくる記事のほとんどが「マットレスが柔らかすぎる」「枕が合っていない」という結論に行き着きます。ところが、実際にマットレスを買い替えた方から「変わりませんでした」というお話を聞くことも、同じくらいよくあります。

結論から言えば、朝の腰の不調を考えるうえで見落とされやすいのが、「眠っている間に、寝返りが打てているかどうか」という視点です。そしてここが重要なのですが、寝返りが打てるかどうかは、寝具だけで決まるものではありません。寝返りという動作そのものを、体が軽くこなせる状態にあるかが、同じくらい効いてきます。

この記事では、①寝返りが「体のどこで起きている動きなのか」という関節の仕組みと、②眠っている間に脳と神経が体をどう扱っているのかという2つの側面から、朝の腰の重さについて整理していきます。

【はじめに】先に医療機関で相談したほうがよい場合

本題に入る前に、安全に関わる大事な話をさせてください。朝の腰の痛みには、体の使い方や寝返りとは別の背景が関わっていることもあります。次のような様子がある場合は、まず医療機関にご相談ください。

  • 朝のこわばりが30分〜1時間以上続く状態が、何か月も続いている
  • 安静にしているほうがつらく、動いているほうが楽という状態が長く続いている
  • 夜中に痛みで目が覚める、痛みで眠れない
  • 脚のしびれ・力が入りにくい感じを伴う
  • 発熱、原因のはっきりしない体重の減少を伴う
  • 転倒やぶつけたなど、はっきりしたきっかけがある

特に「朝のこわばりが長時間続く」「動いたほうが楽」という組み合わせは、筋肉のこわばりとは別の背景が関わっている場合があることが知られています。自己判断で様子を見続けず、一度確認しておくことをおすすめします。当院でも、こうした様子がある方には医療機関の受診を先にお願いしています。

【機能解剖学①】寝返りは「体をねじる」動作。ところが腰は、ほとんどねじれない

まず、寝返りという動作を分解してみます。あお向けから横向きになるとき、体は上と下で逆方向に回っています。つまり寝返りの正体は「背骨をねじる」動きです。

腰椎がねじれる角度は、片側でわずか5度

ここで多くの方が意外に感じるのが、腰の骨(腰椎)は、そもそもねじれるようにできていないという事実です。

『関節の生理学』(カパンジー)には、この点についてかなりはっきりした数字が載っています。腰椎全体でねじれる角度は左右合わせて10度、片側でたった5度。腰椎は5個の骨からできていますから、骨1個あたりにすると、わずか1度という計算になります。

これは推測ではなく実測値です。GregersenとLucasという研究者が、背骨の一つひとつの突起に金属製のピンを埋め込み、センサーで角度のずれを直接測定して得られた数字だと記載されています。それだけ、外から測るのが難しい部位だということでもあります。

一方で、その上にある胸の骨(胸椎)は、片側で約37度。骨1個あたりでも3〜4度ねじれます。同じ書籍には「回旋は腰椎よりも胸椎で4倍大きい」とまとめられています。肋骨がついていて硬そうに見える胸椎のほうが、実は腰よりずっとねじれる。ここが直感と逆なところです。

ねじりの主役は、胸椎と股関節

つまり、寝返りで体をねじるとき、その仕事のほとんどを引き受けているのは胸椎(背中)と股関節であって、腰ではありません。腰は、上と下をつなぎながら、ほんの少しだけねじれに参加している——それが構造から見たときの役割分担です。

ところが、デスクワークやスマートフォンで背中が丸まったまま固まっていると、胸椎のねじれが出にくくなります。すると、体は足りない分をどこかで補おうとします。その補い先になりやすいのが、本来1個あたり1度しかねじれない腰です。

さらに、同じ書籍には「座った姿勢では、股関節が曲がっていることで骨盤が固定されやすくなり、ねじれの可動域が小さくなる」という指摘もあります。股関節まわりが硬い状態も、ねじれの出にくさに関わってくるわけです。股関節の動きについては股関節の硬さのページでも詳しく触れています。

ここまでを整理すると、胸椎と股関節が動きにくい体は、寝返り1回にかかる労力が大きくなるということになります。これが後半の話につながる、重要な伏線です。

【機能解剖学②】朝の背骨は、夜の背骨と同じ状態ではない

もう一つ、朝という時間帯そのものに関わる話をします。

1日の終わりに、背骨は最大2cm縮んでいる

背骨の骨と骨の間には、クッションの役割をする椎間板があります。その中心には髄核というゼリー状の部分があり、水分を多く含んでいます。

カパンジーによれば、立って過ごしている間、体重による圧が上からかかり続けることで、この髄核から水分が少しずつ外へ押し出されていきます。この圧は日中ずっとかかり続けるため、1日の終わりには、椎間板の厚みの合計が背骨全体で最大2cmほど失われると記載されています。夕方に身長を測ると朝より縮んでいる、というのはこのためです。

そして夜、横になると状況が逆転します。あお向けでは体重による上下方向の圧がかからず、かかるのは眠って力の抜けた筋肉のわずかな張力だけになります。この「荷重から解放された時間」に、髄核はスポンジのように水分を吸い戻し、椎間板は元の厚みを取り戻していく——つまり朝の背骨は、水分をたっぷり含んで内側から張った状態にあるわけです。

だから「朝いちばんの起き上がり方」には意味がある

ここで知っておきたいのが、背骨を前に丸めたとき(屈曲したとき)に椎間板の中で何が起きるかです。同じ書籍には、前かがみになると髄核は後ろ側へ移動し、それを受け止める外側の線維に張りが生じると説明されています。

朝は、その髄核がもっとも水分を含んで張っている時間帯です。そのタイミングで、あお向けからいきなり上体を起こす——つまり背骨を強く丸めながら、同時にねじる——という動作を毎朝繰り返していることになります。しかも直前まで、体は何時間も動いていません。

「朝が一番つらいのに、動いているうちに楽になる」という感覚には、この日内の変化も関わっていると考えられます。逆に言えば、起き上がり方を変えるだけでも、朝いちばんの背骨にかかる条件は変えられるということです。具体的な方法は後半でご紹介します。

【神経学】そもそも寝返りは、意識して打つことができない

ここまでは「体の構造」の話でした。ここからは「眠っている脳が、体をどう扱っているか」という話に移ります。ここが、寝具の記事では絶対に触れられない部分です。

眠っている間、体を動かす指令にはブレーキがかかっている

『カンデル神経科学』には、睡眠中の体の状態が詳しく記載されています。

まず、眠りにはノンレム睡眠(N1〜N3の3段階)とレム睡眠があり、この2つが約90分の周期で入れ替わりながら朝まで繰り返されます。そして、それぞれの段階で体の状態がまったく違います。

ノンレム睡眠では、眠りが深くなるほど筋肉の張りが低下していきます。深い段階(N2・N3)になると、脳の活動がゆっくりした波に変わり、外界の情報処理そのものが遮断されると説明されています。要するに、深く眠っているときは、体の外で起きていることも、体の内側の感覚も、脳に届きにくくなっているわけです。

そしてレム睡眠は、さらに極端です。この段階では筋肉の張りがきわめて低くなるのですが、これは疲れて力が抜けているのではありません。脳幹から運動神経に向かって、積極的に「動くな」というブレーキがかけられている状態だと記載されています。しかもこのブレーキは、呼吸・眼球の動き・括約筋などごく一部を除いて、ほとんどすべての運動神経に及ぶとされています。夢の内容をそのまま体で実行してしまわないために必要な仕組みだ、というわけです。

寝返りが打てる「窓」は、思ったより短い

ここまで読むと、ひとつのことが見えてきます。寝返りは、眠っている間ならいつでも打てるわけではないのです。

深いノンレム睡眠では外界の処理が遮断されていて、レム睡眠では運動神経にブレーキがかかっている。つまり寝返りが起こりうるのは、眠りが浅くなる、限られたタイミングということになります。しかもそれは、意識してコントロールできるものではありません。「今夜は寝返りを多めに打とう」と決めて眠ることは、原理的にできないのです。

よく「寝返りを打つ回数を増やしましょう」という助言を見かけますが、この点から見ると、少し無理があります。寝返りは意志ではなく、体が勝手にやってくれるかどうかの問題だからです。

つまり、寝返りは「労力の小さい動作」でなければ成立しない

ここで、前半の機能解剖学の話と、後半の神経学の話がつながります。

寝返りは、①ねじりの仕事の大半を胸椎と股関節が担う動作であり、なおかつ②意識の外側で、限られた短いタイミングにしか起こせない動作です。この2つを重ねると、こうなります。

寝返りは、体にとって「軽い動作」でなければ成立しない。

胸椎が丸まったまま固まっていて、股関節も動きにくい。その状態で寝返りを打とうとすると、体は「背中と腰と脚をひとかたまりにして、丸太のように転がす」しかありません。これは単純に、労力の大きい動作です。日中であれば、力を入れて起き上がればいいだけの話ですが、眠っている間には、その力を出すこと自体にブレーキがかかっています

結果として何が起きるか。寝返りが完了せず、同じ姿勢のまま時間が過ぎていきます。あるいは寝返りを打つために、いったん眠りが浅くなる必要が出てきます。「よく寝たはずなのに疲れが取れない」という感覚が同時にある方は、この可能性も考えられます。

そしてもう一つ。同じ姿勢が長く続くと、体液の流れも滞りやすくなります。体の中の水分の移動は、心臓の拍動だけでなく、呼吸によるポンプ作用や、筋肉の動きによるポンプ作用によって助けられていると、オステオパシーの教科書には整理されています。動きが止まるということは、そのポンプが働かない時間が続くということでもあります。

マットレスは、この話のなかで「体が動きやすいかどうか」を左右する要素のひとつではあります。沈み込みすぎるマットレスが寝返りの労力を増やすのは、そのとおりです。ただし、寝具は動きやすさの一部でしかなく、動く側の体が変わらなければ、寝返りの労力は下がりきりません。買い替えても変わらなかった、という方が一定数いらっしゃるのは、ここに理由があると考えています。

岩槻 整体Re.Lifeでの考え方

整体Re.Lifeでは、朝の腰の重さについて、寝具か体かの二択で考えていません。まず寝返りにかかる労力を下げることを目標に置いています。

そのうえで、次の順番で進めていきます。

1. 整体で、ねじりに関わる部分の動きを出す
まず、胸椎(背中)・肋骨まわり・股関節といった、本来ねじれを担当すべき部分の動きを確認し、硬くなっているところを整えます。ここが動かないまま運動だけを重ねても、腰が代わりにねじれる形になってしまい、狙いとずれてしまうためです。

2. マシンピラティスで、背骨を「一つずつ」ねじる練習をする
次に、出てきた動きを体に覚えてもらう段階です。マシンピラティスでは、体重を支える負担を機械側に預けられるため、「小さい力で、背骨を分けてねじる」という感覚をつかみやすくなります。腰でまとめてねじるのではなく、胸椎と股関節に仕事を戻していく練習です。これは筋力トレーニングというより、動き方の練習に近いものです。

3. 寝具の話も、否定しません
体が変わっても、極端に沈み込む寝具では寝返りの労力は下がりません。寝具の見直しが必要そうな場合は、そのままお伝えしています。当院で寝具を販売してはいませんので、その点は率直にお話しできる立場だと思っています。

腰の不調全般については腰痛のページ、背中の張りについては背中の痛みのページもあわせてご覧ください。施術内容と料金は料金ページに掲載しています。

日常生活でできる工夫

起き上がるときは、いきなり上体を起こさない

朝いちばんに実践しやすいのがこれです。あお向けから腹筋を使って直接起き上がるのではなく、一度しっかり横向きになってから、腕で床を押して上体を起こし、脚を下ろすという順番にします。背骨を強く丸めながらねじる動作を避けられるため、水分を含んで張っている朝の背骨には条件が優しくなります。

「痛い日だけ」ではなく毎朝の習慣にしてしまうほうが、結果的に楽です。

寝る前に、ねじる動きを一度入れておく

寝る前に、体をゆっくりねじる動きを入れておくのも一つの方法です。あお向けで両膝を立て、そろえた膝を左右にゆっくり倒す。息を止めず、反動を使わず、痛みの手前で止める。これだけでも、その日固まった背中まわりに「ねじる」という動きを思い出させることができます。

ポイントは、強く伸ばそうとしないことです。眠る前は、頑張る運動ではなく、動きの確認くらいの強度で十分です。

夏の寝室で見落とされがちなこと

8月の岩槻は、夜になっても気温が下がりきらない日が続きます。この時期に増えるのが、冷房の風が体の一部にだけ当たり続けているという状態です。

暑くて眠りが浅くなること自体も寝返りに影響しますが、それ以上に、風が直接当たる部分だけが冷えて縮こまり、その姿勢のまま固まってしまうことがあります。風向きを壁や天井に向ける、扇風機で空気を回して直接当たらないようにする、といった調整だけでも変わります。冷えと体の不調の関係については冷え性のページでも触れています。

痛いからと動かないのは、かえって逆効果になりえます

最後にお伝えしておきたいのがこれです。朝に腰が痛いと、「安静にしていたほうがいいのでは」と考えたくなります。しかし腰の治療について書かれた専門書には、数日以上の安静はかえって回復を遅らせるという趣旨のことが、はっきりと記載されています。関節が硬くなる、筋力が落ちる、痛みがかえって強くなることが多い、といった影響が挙げられています。

同じ本には、「背中は動かしたほうがよく、動き始めるまでが早いほどよい」という言い方も出てきます。もちろん、痛みが強くて日常のことが何もできないときは横になる必要があります。ただ、痛みが完全に消えるまで待つ必要はないという考え方は、知っておいて損がないと思います。

よくある質問

Q寝返りをまったく打っていない気がします。よくないことでしょうか?

朝に不調がなく、日中も問題なく過ごせているのであれば、回数そのものを気にしすぎる必要はないと考えています。ただ、朝の腰の重さやこわばりがセットである場合は、寝返りの打ちにくさが関わっている可能性があります。回数を数えるより、「寝返りが軽くできる体かどうか」を確認するほうが現実的です。

Qマットレスを買い替えれば解決しますか?

改善する方もいらっしゃいますし、寝具が合っていないケースは実際にあります。ただ、沈み込みの問題が解決しても、背中や股関節が動きにくい状態が残っていれば、寝返りの労力は下がりきりません。買い替えても変わらなかった場合は、体側の要因も一度確認してみることをおすすめします。

Q朝だけ痛くて日中は平気です。放っておいても大丈夫でしょうか?

日中に困っていないと後回しになりやすいのですが、朝つらいということは、その状態が毎日続いているということでもあります。また、こわばりが長時間続く、動いているほうが楽という状態が長く続いている場合は、記事の前半で触れたとおり別の背景が関わっていることもありますので、一度医療機関でご相談ください。

Q寝返りは意識して増やせますか?

意識して増やすことはできません。深い眠りでは外界の情報処理が遮断され、レム睡眠では運動神経にブレーキがかかっているため、寝返りは意志の外側で起きる動作です。できるのは「寝返りが起きやすい体と環境を用意しておくこと」までで、その先は体に任せる形になります。

Q横向きとあお向け、どちらで寝るのがよいですか?

どちらが正解と決めつけないほうがよいと考えています。大切なのは特定の姿勢を守ることではなく、一晩のあいだに姿勢が変わることだからです。「この向きで寝なければ」と力が入ると、かえって寝返りを妨げてしまうこともあります。楽な向きから入って、あとは体に任せてよいと思います。

医療機関への相談も大切です

この記事では、寝返りと背骨の仕組みという切り口で朝の腰の不調を整理しました。ただし、朝の腰の痛みには、ここで扱っていない背景が関わっていることもあります。

特に、こわばりが長時間続く、夜間に痛みで目が覚める、脚のしびれや力の入りにくさを伴う、発熱や体重減少を伴う、といった場合は、体の使い方の話とは切り分けて考える必要があります。当院でも、こうした様子がある方には医療機関での確認を先にお願いしています。

まとめ

  • 寝返りの正体は「背骨をねじる」動作だが、腰椎がねじれる角度は片側でわずか5度、骨1個あたり1度しかない
  • ねじりの主役は胸椎(片側約37度)と股関節で、胸椎は腰椎の約4倍ねじれる。ここが硬いと、寝返りの労力が大きくなる
  • 日中に背骨は最大2cmほど縮み、夜のあいだに水分を吸い戻す。朝の背骨は張った状態にあるため、いきなり丸めて起き上がる動作は条件が厳しい
  • 深い眠りでは外界の情報処理が遮断され、レム睡眠では運動神経に脳幹からブレーキがかかる。寝返りは意識して打てるものではない
  • だからこそ寝返りは「労力の小さい動作」でなければ成立しない。寝具は要素のひとつだが、動く側の体が変わらなければ労力は下がりきらない
  • 起き上がり方を横向き経由に変える、寝る前にねじる動きを一度入れる、といった工夫は今日から試せる

岩槻・東岩槻で「朝の腰の重さ」が続いている方は、寝具を疑う前に、一度ご自身の背中と股関節の動きを確認してみてください。整体Re.Lifeでは、整体で動きを出したうえで、マシンピラティスでその動きを体に覚えてもらうという流れでお手伝いしています。

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の症状の診断・治療を保証するものではありません。気になる症状がある場合は、医療機関へのご相談をおすすめします。

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